各種計装設備工事


各種計装設備工事とは
計装設備工事は、工場やプラント、ビルなどの大規模施設において、温度・圧力・流量といった様々な物理量を計測し、それに基づいて機器や設備を自動で制御するためのシステムを構築する専門工事です。具体的には、センサーや計器の設置、計測データの送信、制御を行うための配線・配管工事、そして制御盤や監視システムの構築が含まれます。
各種計装設備工事の流れ
計装設備工事は、工場、プラント、ビルなどの施設において、温度、圧力、流量、液位といった様々な物理量を計測し、それらのデータに基づいて機器や設備を自動的に制御するためのシステムを構築する専門的な工事です。システムの安定稼働や効率化、安全性確保に不可欠な役割を担っています。一般的な計装設備工事の流れは以下の通りです。
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1
- 事前調査・要件定義・ヒアリング
- お客様が何を自動化したいのか、どのような課題を解決したいのか(例: 生産ラインの効率化、品質の安定化、省エネ、安全性の向上など)を詳細にヒアリングします。
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2
- 計装設計・プランニング
- 事前調査で得られた情報と要件に基づき、最適な計装システムを設計します。どこでどのような物理量(温度、圧力、流量、PHなど)を計測する必要があるかを決定します。
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3
- 見積もり・契約
- 設計内容に基づき、機器費用、工事費用(設置、配線・配管、調整など)、ソフトウェア開発費、その他諸経費を含んだ詳細な見積もりを提示します。工事内容、工期、保証内容、アフターサービスなどを確認し、納得できれば契約となります。
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4
- 資材手配・ソフトウェア開発
- 設計に基づき、計測機器、制御装置、バルブ、ケーブル、電線管、制御盤、取付金具などの資材を手配します。DCSやPLCなどの制御システムに必要な制御プログラム(ソフトウェア)の開発もこの段階で並行して行われます。
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5
- 制御盤製作(オフサイト作業)
- 工場内で、設計図に基づき制御盤の組み立てと配線、試験(FAT: Factory Acceptance Test)を行います。現地での作業を効率化するため、この段階で可能な限り完成させます。
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6
- 工事着工(設置・配線・配管)
- 古い計測器や制御盤、配線などを法令(フロンガス回収など)に従って撤去します。制御盤や大型機器を設置するための基礎工事が必要な場合もあります。センサー、バルブ、アクチュエータなどの現場機器を所定の位置に設置・固定します。
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7
- 配線・配管工事
- センサーから制御盤へ、制御盤から操作端へ、あるいは制御盤間の信号ケーブルや電源ケーブルを敷設します。ノイズ対策のためシールドケーブルの使用や、ケーブルラック・電線管による保護も行われます。
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8
- 結線・結露・校正・調整(ループチェック)
- 設置された機器と制御盤間のケーブルを結線します。各計測器が正確な値を測定できるよう、校正(キャリブレーション)を行います。センサーからの信号が制御盤を介して操作端まで正しく伝達され、期待通りの動作をするかを一つずつ確認します。これは「ループ(回路)」として機能を確認する重要な作業です。
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9
- 試運転・性能確認
- システム全体を稼働させ、設計通りに機能するか、プロセスが安定して制御されるかを確認します。実際の運転状況を想定した状態で、計測値の正確性、制御応答性、アラーム動作、インターロック(安全連動)機能などを総合的にテストします。異常や不具合が発見された場合は、原因を特定し修正します。
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10
- 引き渡し・操作説明
- 試運転で問題がないことを確認し、お客様へシステムを引き渡します。システムの操作方法、日々の運用方法、トラブル時の対処法、緊急連絡先、保証内容、メンテナンススケジュールなどについて詳しく説明します。必要に応じて、運用マニュアルの提供や研修も行われます。
運用開始後のメンテナンス
運用開始後も、システムの安定稼働と性能維持のため、定期的な点検や校正、故障時の修理対応などが行われます。システムによっては、遠隔監視やソフトウェアのアップデートなども含まれます。
各種計装設備工事のよくある質問
計装設備工事とは具体的にどのような工事ですか?
温度、圧力、流量、液位などの物理量を計測し、その計測データに基づいて工場やプラントの設備、機械などを自動的に制御するためのシステム(計測器、制御盤、DCS/PLC、配線、配管など)を設計・設置する専門工事です。
どのような目的で計装設備工事を依頼するケースが多いですか?
生産プロセスの自動化・効率化、製品の品質安定化、人件費削減、省エネ、設備の安全性向上(異常検知・緊急停止)、遠隔監視、データ収集などが主な目的です。
計装工事と電気工事の違いは何ですか?
電気工事は、電気の供給(動力、照明など)や配線が主ですが、計装工事は、電気信号や空気圧信号を使って**「計測と制御」**を行うことに特化しています。電気工事が建物の「血管」なら、計装工事は「神経系」や「脳」のような役割です。
どのような施設で計装工事が必要とされますか?
化学プラント、発電所、製薬工場、食品工場、製鉄所、水処理施設、石油精製施設、ごみ処理場、大規模な空調設備を持つビルなど、様々な産業施設で不可欠です。
既設の設備に計装システムを追加・更新することは可能ですか?
はい、多くの場合可能です。既存設備の老朽化による更新や、生産性向上、省エネ化のために部分的に計装システムを改修するケースはよくあります。
防爆エリアでの計装工事は可能ですか?
はい、可能です。可燃性ガスや粉塵が存在する防爆エリアでは、防爆構造の計装機器の選定、防爆電気工事の資格を持つ技術者による施工、本質安全防爆や耐圧防爆などの適切な防爆対策が必須となります。
計装システムの設計はどのように進められますか?
まずお客様の要望と現地調査から要件定義を行い、次に最適な計測点、制御方式、機器を選定し、システム構成図や配線図を作成します。安全性や将来の拡張性も考慮して設計されます。
工事費用はどのように決まりますか?
導入する機器の種類と数量、制御点の数、配線・配管距離、ソフトウェア開発の有無、工事の難易度(高所、狭所、防爆エリアなど)、既存設備の撤去費、試運転・調整費など、非常に多岐にわたる要素で決まります。
工事期間はどのくらいかかりますか?
システムの規模や複雑さにより大きく異なります。小規模な部分改修であれば数日?数週間ですが、プラント全体のような大規模なシステム構築には数ヶ月から数年かかることもあります。
制御盤の製作も依頼できますか?
はい、計装工事の専門業者は、計装設計に基づいて制御盤の設計・製作も自社または協力工場で行うのが一般的です。現地での据付前に工場で動作試験(FAT)も行われます。
DCSやPLCのプログラミングも含まれますか?
はい、ほとんどの計装工事で、DCS(分散制御システム)やPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の制御プログラム(シーケンス制御、PID制御など)の開発・設定も工事範囲に含まれます。
見積もりを依頼する際に、どのような情報が必要ですか?
対象となる設備やプロセスの概要、現状の課題、達成したい目標(自動化したい内容、計測したい項目など)、予算、希望納期、既存の図面(あれば)などが役立ちます。
計装設備の導入でどのくらい省エネ効果が見込めますか?
プロセスの最適化、不要な運転の削減、高効率機器の導入などにより、大きな省エネ効果が期待できます。具体的な数値はシステム設計や対象設備の状況によって異なりますが、投資回収期間の計算も可能です。
工事後の保証はありますか?
はい、多くの業者が施工不良に対する保証を提供しています。また、導入する機器にはメーカー保証が付帯します。契約時に保証期間や内容を必ず確認しましょう。
導入後のメンテナンスは必要ですか?
はい、システムの安定稼働と性能維持のため、定期的な点検、計測器の校正、制御プログラムの最適化、消耗品の交換などが不可欠です。特に産業施設では、メンテナンスが義務付けられているケースも多いです。
メンテナンスはどのくらいの頻度で必要ですか?
設備の重要度、使用環境、機器の種類によって異なりますが、一般的には年に1回?数回の定期点検が推奨されます。異常が発生した場合は、速やかな対応が必要です。
トラブルが発生した場合の対応はどうなりますか?
多くの場合、工事を依頼した業者がアフターサービスとしてトラブル対応を行ってくれます。緊急時の連絡体制や対応時間(24時間対応など)も確認しておくと良いでしょう。
既存の設備との連携は可能ですか?
はい、可能です。既存のPLCやDCS、上位システム(SCADA、生産管理システムなど)とのデータ連携や信号連携を考慮してシステムを設計します。
データ収集や遠隔監視はできますか?
はい、可能です。計装システムで得られたデータをデータベースに蓄積し、履歴管理や傾向分析を行うことができます。また、インターネットや専用回線を通じて、遠隔地から設備の稼働状況を監視することも一般的です。
計装工事を依頼する際の業者選びのポイントは何ですか?
豊富な実績と専門知識、技術力があるか、設計から施工、アフターサービスまで一貫して対応できるか、安全管理体制は整っているか、ヒアリングや提案が丁寧か、複数の業者から見積もりを取り比較検討することが重要です。
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